inumimiblog

元図書館司書の読書日記。不定期更新。

食堂かたつむり / 小川糸 食と本

こんにちは。

最近食欲がノンストップなソラです。

本日はそんな食欲が、

さらに刺激されるであろう一冊を紹介します!

 

食堂かたつむり / 小川糸 (ポプラ文庫)

 

  

食堂かたつむり (ポプラ文庫)

 

あらすじ

同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。 (『食堂かたつむり』小川糸著 より引用) 

 

感想

 

この本は私にとって、かなり思い出深い本です。

結婚前、地元で勤めていた会社の社長の奥さんに(60歳くらいの方)に、

本好きなんですって言ったら、

「最近読書に挑戦しようと思っているんだけど、旦那(社長)が薦める本は

難しくて…ソラちゃんのおすすめ貸してくれない?」と

大役を任されました。(内心焦りまくり。)

かなり考えて考えて、奥さんは料理が好きで、尚且つ料理上手な方だったので、

本書をお貸しすることにしました。

私の人間性を試されているようでかなりドキドキしましたが、

「すっごく面白かった!この本に出てくるお料理、作りたくなっちゃった」との

お言葉を頂けました。

今まで読書をあまりしてこなかった方でしたが、

本書をきっかけに読書にはまってくれたようで、本を読むようになったそうです。

こんな嬉しいことはないです。人に本をお勧めする楽しさに気付いた瞬間でした。

 

ちょっと脱線しましたが、この本の感想書きますね!

この本の主人公、倫子は、

同棲していたインド人の恋人に

部屋のなかのもの全てを持ち去られます。

その中には、いつか自分のお店を持つために、

必死で貯めてきた開店資金も含まれていました。

さらにそのショックで声も出なくなってしまう。

唯一残されていた祖母の形見のぬか床を抱えて、

倫子は故郷に帰ります。

とまあ、なかなか不幸なかんじで本書は始まります。

倫子は自然たっぷりの故郷で、

一日一組のお客様をもてなす食堂を始め、いろいろな人と出会います。

そして倫子がずーっと心に抱えてきた母親への不信感。

物語が進むにつれ、その母との関係にも変化が訪れます。

物語が進むにつれ、涙無しでは読めません。

あたたかな言葉で紡がれる、母娘の物語です。

 

と、もちろんストーリーもとてもいいのですが!

本書の魅力は何といっても、出てくる料理の描写が素晴らしい!

料理の描写というか、ほとんどレシピです。

社長の奥さんも言ってた通り、作りたくなります。

主人公倫子は、調味料も自分で作っちゃうこだわりっぷりなのです。

例えばバルサミコ酢も、森で山ブドウを採ってきて、作っちゃうのです。

大事に育ててきた豚も解体して、余すことなく料理します。

命を食べるということ、

普段私たちが何気なく口に入れているもの、

食べるということは生きるということだと、

思い出させてくれるそんなお話です。

 

確か、このお話に出てくる料理のレシピ本も出版されていたと思います。

ちなみにわたしはザクロカレーと、フルーツサンドが食べたいです!

 

フルーツサンドの描写をドッグイア

パンの表面に湯煎にかけたミルクチョコレートを薄く塗る。チョコレートは、ビターよりもミルクの方がクリームや果物との相性がいい。一口齧ると、ふわふわのパンの間から果物のジュースがじゅわーっと溢れ、噛んでいるうちにかすかなチョコレート味が口に広がる。 (『食堂かたつむり』p122)

 もう美味しそうじゃないですか?!よだれがじゅわーっと口に広がる…

 

ちょっと人生に疲れたとき、ぜひ読んでほしいお話です。

読み終わったときには、お腹がグーっとなるはずです。

 

 

食堂かたつむりの料理

食堂かたつむりの料理

 

 

「犬耳LOG]はAmazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。