カラフル / 森絵都 いろいろないろ
こんにちは。
ますます春らしくなって、
天気がいいと本当に気持ちいいですね。
我が家のベランダの花も咲き始めました。
花粉症さえなければ、春って最高なのに…
みなさんそれぞれの春を満喫していますか~?
今日は、春になると読みたくなる本を紹介します。
カラフル / 森絵都 (文春文庫)
こちらの本、一応分類としては「児童文学」ですが、
是非とも大人の方にも読んで頂きたい一冊です。
あらすじ
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが……。不朽の名作ついに登場。 (『カラフル』森絵都著 より引用)
感想
本書を初めて読んだのは、高校一年生の春でした。
まだ新しいクラスに馴染めていないときですね。
う~ん、懐かしい!
まあでも私の思い出なんてみなさん興味ないと思うので、
本書の感想に移らせて頂きます。
主人公は、生前何かしらの罪を犯したため、
輪廻のサイクルを外れてしまった「ぼく」。
そんな「ぼく」の魂がふらふら飛んでいると、
「おめでとうございます!抽選に当たりました!」と
天使のプラプラが現れます。
なんと、下界で再挑戦できるというのだ。
どうやら再挑戦とは下界のだれかの体を借りて過ごす、
ホームステイのことをいうらしい。
「ぼく」は生前の記憶を一切失っていて、
その再挑戦の修行が上手くいくと、ある時点で、
前世の記憶が戻るという。
その瞬間に、輪廻のサイクルに戻ることができる。
という仕組みらしい。
そして、「ぼく」は、3日前に服薬自殺を図った中学3年生の、
真の体にホームステイすることに。
傍から見れば幸せそうな家族に囲まれた真が
自殺をする理由なんてないように見えたが…
と、まあ「ぼく」は真として生活するうちに、
いろいろな人と関わり、いろいろな問題に巻き込まれていくわけです。
それにしても、体にホームステイって発想、天才だと思いませんか。
扱っている問題は結構深刻だと思うのですが、
森さんの手にかかると不思議と暗くない。
すごく読みやすいです。
そしてキラキラしたことばがたくさん。
そんな中でも、私が一番好きなことばをドッグイア!
「ぼく」が真の中学の後輩のひろかちゃんに言った言葉です。
人は自分でも気づかないところで、だれかを救ったり苦しめたりしている。この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。どれがほんとの色だかわからなくて。どれが自分の色だかわからなくて。 (『カラフル』p187より引用)
子供の時って、特に中学生くらいの時って、自分を確立するのって難しい。
多感な思春期に、学校の規則に縛られ、
友達に合わせなきゃ、クラスになじまなきゃ、
もうあれやこれやあって、そりゃ反抗期にもなりますよね。
中学生の時に上記のことばに出会っていればもう少し楽だったかな。
自分の色が何色かなんて、若い時に分かる人なんてごく一部。
むしろ大人になっても分からない。
私もまだ分からない!笑
でもきっと色なんてころころ変わっていいのかも。
そんな風にゆる~く考えられたら楽ですね。
新学期が始まった学生さん、
日々の生活にもみくちゃにされている大人のあなた、
『カラフル』を読んでちょっと一息ついてみてはいかかでしょうか。