痴人の愛 / 谷崎潤一郎 ナオミは悪女なのか?
ご無沙汰です!
今日から6月スタートですね。
今月は「更新の頻度を上げる」を目標に精進します!
先月は読書量もかなり低かったので、今月は10冊くらい読みたいな。
さてさて今日は大正末期の作品を紹介します。
いわゆる悪女ものです。
痴人の愛 / 谷崎潤一郎 (新潮文庫)
あらすじ
生真面目なサラリー・マンの河合譲治は、カフェで見初めた美少女ナオミを自分好みの女性に育て上げ妻にする。成熟するにつれ妖艶さを増すナオミの回りには、いつしか男友達が群がり、やがて譲治も魅惑的なナオミの肉体に翻弄され、身を滅ぼしていく。大正末期の性的に解放された風潮を背景に描く傑作。知性も性に対する倫理観もない〝ナオミ〟は、日本の妖婦の代名詞となった。
感想
この本を購入したきっかけは、確かヴィレバンだったと思うのですが、
ポップに「自分の子供の名前には‟ナオミ”って付けたくない」的なことが書いてあって
え?そこまで思うほど悪女の話なら読んでみたい…と思ったのです。
話飛びますが、ヴィレバンのポップって秀逸ですよね~
ああいうの思いつく人ってほんとに尊敬する…どうやって考えているのでしょう。
ポップの書き方の授業とかあれば受けてみたいです。
ブログの記事作成にも役に立ちそうですよね!
で話を戻します。
このお話、作者はかの有名な谷崎潤一郎大先生です。
「細雪」とか有名ですね。(しっかり読んだことない)
国語の便覧に載っていましたね。懐かしい。国語の便覧。
授業聞かずに、こっそり国語の便覧読んでたな~
さてこの物語は、譲治(ジョージ)という電気技師の男が、
妻の奈緒美(ナオミ)と出会って今日までの足掛け8年間を語る形で進みます。
ジョージには、少女を自分の好みに育て上げ、
年頃になったときに両思いであったら結婚するという大いなる野望があった。
そしてたまたまカフェで出会ったナオミを引き取り、二人で暮らし始める。
そして二人は結婚するのですが…
果たしてナオミは悪女なのか?
この本を読み終わって疑問に思いました。
というよりか、ジョージのダメっぷりが目についてしまって。
そもそも光源氏と紫の上的なジョージの願望が気持ち悪い。(バッサリ)
お前がやるな!と言いたい。光源氏だから許されることだよ!
確かに成長して自分の魅力に気付いてからのナオミは目に余るものがあるのですが、
それ以上にジョージにイライラ。
もっとしっかりして!ジョージ!
ナオミが悪女になったのは、ジョージにも責任があるのでは?
それにしてもジョージがナオミに翻弄されていく様は、面白くもあり哀しくもあり。
大正ロマンな時代背景に、耽美な文章で綴られる独特な世界観は引き込まれます。
そういえば谷崎潤一郎は「耽美主義」の作家って習いましたね!
耽美主義(たんびしゅぎ、aestheticism・唯美主義、審美主義とも)は、道徳功利性を廃して美の享受・形成に最高の価値を置く西欧の芸術思潮である。これを是とする風潮は19世紀後半、フランス・イギリスを中心に起こり、生活を芸術化して官能の享楽を求めた。 耽美主義 - Wikipedia
上の定義をみると、まさにジョージは耽美主義的に生きていきたいと
願っていたことがわかりますね。
そして肝心の、ナオミは悪女か否か。
私の結論としては、
・現代の感覚でいったらナオミは悪女ではない。
・しかしこの作品が発表された時代背景を考えると、
ナオミが悪女の代名詞になるのは頷ける。
人によって感じ方は違うと思うので実際にこの本を読んで、
ナオミが悪女かどうか確かめてみてください。
それと、「耽美主義」とは何かを知るにも適した本だと思います。
倒錯的な愛のカタチを覗きたい方はぜひ読んでみてください。