キュートでポップでオモチロイ!『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦
こんにちは!
今日はキュートでポップな森見節☆恋愛ファンタジーを紹介します。
夜は短し歩けよ乙女 / 森見登美彦 (角川文庫)
あらすじ
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する‟偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!
登場人物
- 先輩 ・・・ この作品の語り手。大学生。「黒髪の乙女」に恋心を抱いている。
- 黒髪の乙女 ・・・ もう一人の語り手。「先輩」の後輩。うわばみ。
- 李白 ・・・ 高利貸。富豪の老人。
- 樋口さん ・・・ 常に浴衣姿。天狗を自称。不思議な術の遣い手。
- 羽貫さん ・・・ 樋口の友人。美人歯科衛生士。大酒飲み。
「自分よ自分よ、何ゆえ不毛に御活躍?」
この作品は、「先輩」と「黒髪の乙女」が入れ替わり立ち代わりで語り手になる構成で物語が進んでいきます。
舞台は京都。京都大学(かと思われる)に通う「先輩」は、クラブの後輩の「黒髪の乙女」に片思いをしている。
※「先輩」と「黒髪の乙女」は最後まで名前が出てきません。それがまたいい!
「先輩」はとっても不器用なので、いつも「ある信頼すべき筋」から彼女の行く先を聞き、偶然を装って彼女に会おうと画策する。
しかし「黒髪の乙女」は行く先々で不可思議な出来事に巻き込まれるので、
彼女を追いかける「先輩」もいつも事件に巻き込まれ翻弄される。
そして消耗しきったところでようやく彼女と会うことができるのだが、
「黒髪の乙女」はとっても鈍感なので、「奇遇ですねぇ!」と先輩に言うばかり。
永久外堀埋め立て機関と自称する先輩の恋の行方やいかに?!
☝この言葉といい、
「自分よ自分よ、何ゆえ不毛に御活躍?」やら
「恥を知れ!!しかるのち死ね!!」とか
先輩が悶々として出す迷言が本当に秀逸で、おもわずプッと笑ってしまいます。
でも私が一番好きな言葉は、「先輩」ではなく、第3章にて「パンツ総番長」が言った、p224の18行目です!
あと、「おともだちパンチ」はいまだに夫婦間で使っています。笑
読めば必ず京都に行きたくなる!
この物語、「先輩」と「黒髪の乙女」が春夏秋冬、京都を走り回ります。
よって、高確率で京都に行きたくなる効能があります。
そして4年前、私は実際に 行ってしまいました。
そう、下鴨神社の古本市に!
あの真夏の暑い時期、「先輩」と同じようにうだるような暑さを体験してきました。
「黒髪の乙女」が探していた絵本は見つかりませんでしたが、
エンデの『モモ』とキャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』はこの時にGETしました。
いい思い出です。
中村祐介のカバーイラストに羽海野チカのイラスト解説
はい!もう間違いないやつ~!
すみません。好きなものだらけで高まりすぎました。
この作品のカバーイラストは、アジカンのCDジャケットも手掛ける中村佑介なんです。
この作品の世界観に本当にピッタリ!
この表紙とタイトルに惹かれて購入した記憶があります。
そしてなんと解説は、『ハチクロ』『3月のライオン』の羽海野チカのイラスト解説なんです。
イラストがとっても可愛いので必見です。
おわりに
今日は、キュート&ポップな恋愛ファンタジーを紹介しました。
森見作品の中では一番ポップなのではないでしょうか?
読み終わるころには心の中がほんわかする素敵な作品です。
♦森見登美彦 <1979->
1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。