あの明智小五郎のデビュー作!!『D坂の殺人事件』 江戸川乱歩
こんにちは!
今日は江戸川乱歩の短編集の中より『D坂の殺人事件』を紹介します!
D坂の殺人事件 / 江戸川乱歩 (創元推理文庫)
あらすじ
「私」はD坂の大通りにある喫茶店「白梅軒」で、明智小五郎と知り合いとなった。ある9月の蒸し暑い晩、私と明智は「白梅軒」の向かいの古本屋で、店の女房の絞殺死体を発見する。犯行時に古本屋から逃亡した者はなく、犯人を目撃した学生の証言は曖昧で、警察の捜査は難航する。危うく犯人にされそうになった明智小五郎が解き明かした驚くべき真相とは?初期の名作として評判高い表題作のほかに「何者」「一人二役」「算盤が恋を語る話」「恐ろしき錯誤」「赤い部屋」「黒手組」中・短編6編を収録。
登場人物
私 ・・・ 本作の主人公。
感想
明智小五郎の初登場作
この『D坂の殺人事件』、なんといってもかの有名な明智小五郎のデビュー作なんです。
この短編に初登場して、その後いくつかの作品に登場します。
明智小五郎と言えば、頭脳明晰な名探偵のイメージが強いのですが、
この作品では実は彼はまだ探偵ではないのです。
なんと無職の高等遊民なんです。ただの探偵小説好きの。
しかもちょっと変わり者というか、怪しい雰囲気を醸し出しています。
しかし頭脳明晰なのは変わりません。
全身傷だらけの絞殺体
語り手の「私」と明智小五郎が喫茶店の向かいの古本屋で、
その店の妻の絞殺体を発見する。
妻の絞殺体はなぜか全身傷だらけ。
二人は第一発見者になったため、捜査に関わることになる。
そのうち「私」は、明智小五郎に疑いを持ち始め…
本格派の短編小説
この作品、約40ページの短編ながら、ギュッと濃厚な一作です。
乱歩の代表作としてもよく名前の挙がる作品です。
また、本格派の短編として評価が高いです。
トリックとしては、現代の読者には物足りないところもあるとは思いますが、
乱歩の魅力は彼の作品に流れる唯一無似の独特な世界観ではないでしょうか。
不気味でえぐい描写、そしてエロティシズム。
しかしなぜか俗物には感じない、乱歩の世界観。
それこそが乱歩作品の魅力です。
おわりに
今日は明智小五郎の初登場作品を紹介しました。
かの有名な探偵の原点作をぜひ読んでみて下さい!
江戸川乱歩<1894-1965>
明治27年10月21日三重県生、名古屋で育つ。早稲田大学で学び、様々な職業を経験した後、大正12年に「二銭銅貨」でデビュー。「D坂の殺人事件」「人間椅子」「パノラマ島奇談」などを執筆する。休筆を挟んで「陰獣」「芋虫」「孤島の鬼」「押絵と旅する男」などを発表。昭和4年より娯楽雑誌に長編を連載、「魔術師」「黄金仮面」「黒蜥蜴」など。昭和11年から「怪人二十面相」を少年倶楽部に連載。同時期から評論も多く手がけ、昭和22年、探偵クラブ結成、初代会長に就任。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任。昭和40年死去。