きつねのはなし / 森見登美彦 ちょっとぞっとする話
こんにちは。
今日はあいにくの雨ですね。
でも晴耕雨読、
こんな日は読書が進みます。
今日は陰鬱な雨の日にぴったりな、
ちょっとぞっとする本を紹介します。
きつねのはなし / 森見登美彦 (新潮文庫)
森見登美彦さんといえば数々の代表作がありますが、
私の初めての森見作品は、『夜は短し歩けよ乙女』でした。
この本をきっかけに森見作品にハマり何作か読んだのですが、
本日は最近たまたま再読した本書を紹介します。
(※『夜は短し歩けよ乙女』はまた後日レビューしたいと思います。)
あらすじ
「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具屋店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという‟家宝”を持った女が現れて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は?底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。(『きつねのはなし』森見登美彦著 より引用)
感想
森見作品の特徴は、ほとんどが京都を舞台にしていること、
そして太宰治を彷彿させるかのような文体です。
『きつねのはなし』も京都を舞台にした、
狐に似た妙なケモノにまつわるアンソロジーです。
短編集といってもそれぞれのお話には、
必ず芳蓮堂という古道具屋が登場します。
異なる話ですが、絶妙に関連しているのですね。
こういうかんじ、私大好物です。
本書はどんなジャンルかよく分からなくてささっと調べてみたところ、
ホラーとファンタジーみたいですね。
確かに、夜読んでいるとちょっとゾクッとします。
しかしホラーというほど怖い感じはしません。
どちらかというと、古くからある怪談というかんじ。
古都京都の描写と怪談の組み合わせがまさにピッタリです。
表題作『きつねのはなし』から、
狐に似た妙なケモノの描写をドッグイア!
「知り合いから妙なケモノをもらってね」
そばに寄ると、雨に濡れた犬のような匂いが鼻をついた。籠の中は暗くて、何がひそんでいるとも知れない。耳を澄ますと微かな唸り声が聞こえ、籠の中で何かが身じろぎする気配がした。天城さんのかたわらから私が覗き込んだ時、編み目の隙間から一瞬、こちらを睨む人間の眼が見えたような気がした。 (『きつねのはなし』 p33より引用)
この狐に似た妙なケモノって何かの妖怪ですかね~
皆さんは京都、行ったことありますか?
私は京都が大好きで何度も旅行していて、
つい先日も京都在住の友人に会いに行ってきました。
夜四条河原町で飲んだ後、駅まで歩いた時、
街中の暗さにびっくりしました。
特に路地に一歩入ると、真っ暗です。
闇の奥に何かが潜んでいるような。
京都なら、そんなケモノの1匹や2匹いてもおかしくないかも。
ちょっと刺激がほしい人、怪談好きな人、京都が好きな人、
ぜひ読んでみてください!