わたしを離さないで / カズオ・イシグロ SF?恋愛?
こんにちは。
今日は、先日綾瀬はるか主演でドラマ化した、
話題の小説を紹介したいと思います。
わたしを離さないで / カズオ・イシグロ (ハヤカワepi文庫)
普段あまり外国文学は読まない(外国の児童文学は大好き)のですが、
本書はドラマ化するということと、
作者のカズオ・イシグロって日本人名なのに、
外国文学ってどういうこと?
と前々から疑問を持っていたというのもあって、
ミーハーな気持ちで手に取りました。
あらすじ
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていくー (『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ著 より引用)
感想
Never Let Me Go(原題)なんてタイトルを見ると、
ただの恋愛小説だと思ってしまいますが、
これは私的にはSF恋愛小説かなと思います。
どんなところがSF要素なんだと思うかもしれないのですが、
そこを言ってしまうとネタバレになってしまうので、
そこはぜひ読んで頂きたいです!
本作の主人公は、「提供者」と呼ばれる人々の介護人を務めるキャシーという女性。
このキャシーが過去を回想する形で物語が進行していきます。
彼女はヘールシャムという施設で生まれ育ち、
たくさんの仲間とともに成長していきます。
その中には、親友のトミーとルースがいて、
この3人はいわゆる三角関係なんです。
ちなみにトミーが男の子で、ルースは女の子です。
物語が進むうちに、「介護人」と「提供者」の謎も、
ヘールシャムという施設とはいったい何なのか、
ということも分かっていきます。
本日は物語の後半で、
キャシー・トミー・ルースが湿地で座礁した漁船を見に行くシーンを
ドッグイアしました。
そうやって、わたしたちは座礁している船をじっとながめました。ペンキがひび割れ、剥げかかっています。木製の小さなキャビンも柱が崩れはじめています。もとは青色に塗られていたようですが、いまは頭上の空を映し、ほとんど白く見えました。
「どこからどうやって来たのかしらね」わたしは二人にも届くように大きな声で言いました。 (『わたしを離さないで』p341,342より引用)
切ない。
この漁船が、この3人を象徴しているように感じました。
カズオ・イシグロさんは、こういった印象的な描写が上手だなと思いました。
なかなか日本文学ではないような描写だなと。
作者は、日本人の両親のもとに生まれてきたのですが、
幼少期にイギリスに渡航し、以来イギリスで育った方だそうです。
イギリス人なので、外国文学なんだなと。
納得しました。
二つの文化を背景にしているから、このような独特の物語が書けるのでしょうか。
本作は日本でのドラマ化だけでなく、
これまでにも世界中で映画化や舞台化をしてきているそうです。
結局ドラマは見ていないのですが、
今度映画を観てみたいな~。
ドラマを見た方も、そうでない方も、
ぜひ一読の価値ありですので、読んでみてください。
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