2016年本屋大賞受賞!『羊と鋼の森』 宮下奈都
こんにちは。
GW中に読むと宣言していた『羊と鋼の森』。
持ち歩いていたけれどなんだかんだで全く読むことが出来ず、
結局昨日読み終わりました!やっと紹介できます~!
羊と鋼の森 / 宮下奈都 (文芸春秋)
あらすじ
ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。
「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」
ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。
感想
静かに流れるような文体で、読んでいてとても心地よかったです。
そしてまたひとつ、自分の知らない世界を覗けました。
私はピアノを中学2年生くらいまでやっていましたが
(下手くそでしたが、好きだったので続けていた。)、
正直調律師の世界なんて全く知らなかったので…
この本の主人公・外村くんは17歳の高校生の時、
学校のピアノを調律しに来ていた板鳥さんの調律するところを目の当たりにし、
調律師を目指すことを決めます。
ピアノは羊のフェルトで出来たハンマーが
鋼の弦をたたくことで音が鳴る仕組みです。
ピアノは森のようだと、主人公は感じます。
そしてその深い森の中に入っていく決意をするのです。
外村君は専門学校を卒業し、晴れて板鳥さんも務めている楽器店に就職する。
と、外村君が調律師として成長していく過程を描いたストーリーです。
本書は静かな文体なのですが、なんだかところどころ熱いんですよね。
油断していると火傷しそうになります。
私がそんなアチチと思ったことばを紹介します。
「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。俺はそう思うことにしてるよ。」
『羊と鋼の森』p125より引用
外村君が調律先のお客さんに満足してもらず、
やっぱり調律にも才能があるんじゃないかと先輩に聞くシーンです。
そして先輩の答えが、上のことばです。
ものすごく好きだっていう気持ち。
これ、素敵ですよね。
そこから離れられない執念。
それはきっと苦しいかも。
でもそれだけの情熱があるという証拠。
アチチですね。(使い方間違ってますかね?)
本書を読み終わったら、無性に何か頑張りたいきもちが沸々と…
今それを持て余している状態です。。。
今何かを頑張っている人・頑張りたい人に、ぜひオススメしたい作品です。
きっとこの本はあなたの背中をそっと押してくれるはずです。