あすなろ物語 / 井上靖 今週のお題「植物大好き」
こんにちは!
今日は久々に晴れて気持ちいいですね~~
本日は‟今週のお題「植物大好き」”にかこつけて、
植物がタイトルになっているこちらの本を紹介します。
※この写真の木はアスナロではございません。たぶん。
あすなろ物語 / 井上靖 (新潮文庫)
あらすじ
天城山麓の小さな村で祖母とふたり土蔵で暮していた鮎太少年が、多感な青年時代を経て新聞記者となり、終戦を迎えるまでーひとりの人間の少年期から壮年期までの成長の過程における感受性の劇を、六つの物語に謳いあげた青春小説。あすは檜になろうと念願しながら、永遠に檜になれないという悲しい説話を背負った〝あすなろ〟の木に託して、著者自身の《詩と真実》を描く。ー『あすなろ物語』井上靖著 より引用
感想
この小説は中学生くらいの時に初めて読んで以来、
もう何度も読み返しているくらい好きな本です。
この小説は著者井上靖の自伝的小説と言われていて、
主人公鮎太の少年期から青年期の物語を年代別の六つの物語で成っています。
この物語の時代背景としては、戦前から終戦までを描いています。
現代の自分の生活とは全く違う生活、登場人物のキャラクターとかが新鮮で、
のめり込むように読んだ記憶があります。
しかしどこか懐かしい日本の原風景というかんじがして、
また気骨のあるキャラクターが出てきて非常に面白いのです。
きっと当時の日本には、こういう人たちがたくさんいたのでしょう。
この小説はタイトルにもあるあすなろの木がテーマになっています。
鮎太の少年期を描いた第一部『深い深い雪の中で』のこの一文を紹介します。
「あすは檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって!それであすなろうというのよ」
ー『あすなろ物語』p42より引用
あすなろは、漢字にすると翌檜と書きます。
一応アスナロについて調べてみました。
アスナロ(翌檜、学名:Thujopsis dolabrata)は、ヒノキ科アスナロ属の常緑針葉樹。日本固有種。アスヒ(明日檜)とも
アスナロ - Wikipediaより引用
ヒノキに似ているというだけでこんな二番煎じな名前を付けられて、
結構かわいそうな子ですね。アスナロ。
この物語には、鮎太はもちろんのこと、
明日こそ!ともがいている人がたくさん出てきます。
でもきっと著者は、そんなことしたってどうせ檜にはなれないんだから、
と達観してこの物語を書いているのでは無く、
そもそも明日なろうという気持ちを持つことが尊い、
素晴らしいことなんだと伝えたいのかなと思います。
だってこの本を読むと、ほっこりして、頑張ろうと思える。
きっとすべてのあすなろうな人たちへの、エールなのでしょう。
最近ちょっとたるんできていたので、
再読することでまたあすなろうな人に戻ることができました。
私の人生には欠かせない、大事な一冊です。
この本が誰かの大事な一冊になるといいな。