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元図書館司書の読書日記。不定期更新。

ドラマ化決定!!「劇場型犯罪」を描く傑作ミステリ。 『模倣犯』 宮部みゆき

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こんにちは!

今日は、テレ東でスペシャルドラマ化が決定した宮部みゆきの傑作ミステリ『模倣犯』を紹介します。

なんと主演は中谷美紀!今からすっごく楽しみです!!

 

模倣犯 / 宮部みゆき (新潮文庫

 

 

 

あらすじ

墨田区・大川公園で若い女性の右腕とハンドバッグが発見された。やがてバッグの持主は、三ヵ月前に失踪した古川鞠子と判明するが、「犯人」は「右腕は鞠子のものじゃない」という電話をテレビ局にかけたうえ、鞠子の祖父・有馬義男にも接触をはかった。ほどなく鞠子は白骨死体となって見つかった―。未曾有の連続誘拐殺人事件を重層的に描いた現代ミステリの金字塔、いよいよ開幕。 模倣犯』表紙裏より

 

登場人物

塚田真一  ・・・ 17歳。「一家惨殺事件」の生き残り。大川公園で女性の右腕を発見

前畑滋子  ・・・ 「連続殺人事件」を追うルポライター。

前畑昭二  ・・・ 滋子の夫。鉄工所を経営。

有馬義男  ・・・ 豆腐店経営。古川鞠子の祖父。

古川鞠子  ・・・ 義男の孫娘。「連続殺人事件」の被害者。

水野久美  ・・・ 16歳の高校生。真一と一緒に大川公園で右腕を発見した少女。

樋口めぐみ ・・・ 「一家惨殺事件」の加害者の娘。真一につきまとう。

坂木達夫  ・・・ 東中野警察署生活安全課刑事。古川鞠子の失踪事件を担当。

武上悦郎  ・・・ 警視庁捜査一課第四係刑事。主に捜査資料の整理を担当。

  

感想

劇場型犯罪を描く長編傑作

この『模倣犯』は、宮部みゆきの代表作、「劇場型犯罪」を描いた大長編です。

その長さは、単行本で上下巻、文庫本だとなんと5冊!

計1400ページにも上る長さです。

劇場型犯罪とは、犯人がまるで演劇のように犯罪を演出するもので、

例えば犯人が犯行声明を送りつけたりと、その派手さからマスコミがこぞって報道したりします。

実際の事件としては、三億円事件とか最近では黒子のバスケ脅迫事件とかが劇場型犯罪と言われています。

センセーショナルな特徴から、よく小説の題材になることが多い犯罪です。

その中でもこの『模倣犯』は間違いなく代表的な作品の一つです。

 

一家惨殺事件の生き残りの少年

※この作品は3部構成になっています。この記事では1部のあらすじを紹介しています。

「一家惨殺事件」の生き残りの17歳の少年・塚田真一はとある早朝、

事件後引き取ってくれた石井夫妻の飼い犬ロッキーの散歩に大川公園に出かけた。

いつもの朝だったはずが、ちょうど居合わせた高校生の水野久美と共に、ごみ箱に捨てられた女性の右腕の第一発見者になってしまう。

そしてその大川公園から、失踪中の20歳のOL・古川鞠子のハンドバックも発見される。

真一は、強盗目的で家族を殺されてしまい、自分だけが家にいなかった為生き残る。

真一は、家族が殺されたのは自分のせいだと思い悩んでいて、まだ心の傷も癒えないままのなのに、否応もなく事件に巻き込まれて行ってしまう。

 

被害者家族と加害者家族の心の葛藤

失踪中のOL・古川鞠子の祖父、有馬義夫は豆腐屋の店主である。

大川公園から女性の右腕が発見され、更に鞠子のハンドバックが発見された。

そして、犯人から報道局に「あれは鞠子の右腕ではない。彼女は別のところに埋めてある」という電話があったことをニュースで知ってしまう。

そのニュースを同時に聞いた、有馬の娘で、鞠子の母親の真知子は錯乱状態に陥り、

道路に飛び出してしまった。

真知子は一命をとりとめたものの、入院することになった。

おまけに精神的にもダメージを負ってしまう。

義夫はそんな中でも気丈に振る舞う。

しかし、そんな義夫に犯人から弄ぶような電話がかかる。

何の罪もない義夫を弄び傷つける犯人に、警察や一般人は怒りを覚えていく・・・

 

第一部は、被害者家族や警察の目線で書かれています。

作者は被害者家族の心理をリアルに描いていて、読んでいて胸が苦しくなるくらいです。

犯人に憤りを感じます。

また逆に第二部から加害者家族も出てくるのですが、そちら側の心理もかなり詳細に描かれています。

宮部みゆきは、事件そのものもそうですが、事件の周りの人々の心理にかなり重点を置いて描いているなと感じました。

さらに、マスコミの在り方についても考えさせられる内容になっています。

 

ハマる!とにかくハマる!

 1400ページの大長編、とても読み切れる気がしないと思っていませんか?

そう思っているあなた、読み始めたら杞憂だったなと分かるはずです。

とにかく始終ジェットコースター展開なので、ページを捲る手が止まらなくなること請け合いです。

通勤の満員電車で、朝も夜も立ちながら、揉みくちゃにされながらも、そんなこと気にならないくらい読み耽ったのはいい思い出です。

とにかくハマる!約束します!

 

おわりに

今日は、宮部みゆきの大長編『模倣犯』を紹介しました。

ドラマ化の前にぜひ原作を読んでみて下さい!

 

 

宮部みゆき<1960->

1987年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。
89年「魔術はささやく」で日本推理サスペンス大賞、92年「龍は眠る」で第45回日本推理作家協会賞長編部門、同年「本所深川ふしぎ草紙」で第13回吉川英治文学新人賞、93年「火車」で第6回山本周五郎賞、97年「蒲生邸事件」で第18回日本SF大賞、99年「理由」で第120回直木賞、日本冒険小説大賞、2001年「模倣犯」で毎日出版文化賞、02年第6回司馬遼太郎賞、第52回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門、07年「名もなき毒」で第41回吉川英治文学賞を受賞。

Amazon.co.jp: 宮部 みゆき:作品一覧、著者略歴

 

 

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