2010年直木賞受賞作 『小さいおうち』 中島京子
こんにちは!
今日は山田洋治監督で映画化もした、「小さいおうち」を紹介します。
小さいおうち / 中島京子 (文春文庫)
あらすじ
昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに“恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて―。晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。 『小さいおうち』中島京子 表紙裏より
登場人物
布宮タキ ・・・ 元女中。14歳から平井家で働いていた。
平井時子 ・・・ 前夫が事故死。恭一と女中のタキを伴って平井と再婚。
平井恭一 ・・・ 時子と前夫の息子。
平井 ・・・ 時子の二番目の夫。おもちゃメーカーの役員。
板倉正治 ・・・ 平井の部下。おもちゃデザイナー。
健史 ・・・ タキの大甥。
感想
2010年の直木賞受賞作
まだこの二作品、読めていないのですが、過去の直木賞受賞作ということで、
今日は『小さいおうち』を紹介します。
女中タキの回顧録
この物語は、布宮タキというおばあちゃんが、若い頃女中として働いていた平井家での日々を回顧するという形式で進んでいきます。
昭和初期、タキは12歳の時に山形の貧しい農村から女中奉公のため東京に出てきた。
奉公先の平井家の時子奥様はタキと年齢も対して違わず、
非常に美しい女性であったのでタキは献身的にお仕えする。
平井家はおもちゃメーカー役員の旦那様と、時子奥様、連れ子の恭一坊ちゃまという家族構成。
一家は赤い文化住宅に住む非常に幸せな中流階級のご家族だった。
とある疑惑と戦争の影
そんな幸せな平井家であったが、ある日、旦那様が部下の板倉を家に連れてきたことで、少々雲行きが怪しくなってくる。
といっても気づいてたのはタキだけ。
時子奥様と板倉に疑惑を抱いたタキは、苦悩する。
そして追い打ちをかけるように戦争も激しさを増してゆく。
平井家の赤い文化住宅にも戦争の影が迫ってくる。
昭和初期のお話なので、当然戦争が絡んできます。
しかし戦時中も、銀座で洋食を食べたり、普通に市民が楽しく暮らしている様子が描かれていて、意外に思いました。
あとがきで作者が語っているのですが、私たちがイメージする戦時中というのは、
後半の戦局が追い詰められてきた最後の方のイメージであって、
それまではけっこう国民は普通に楽しく暮らしていたそうで・・・
なんだかとっても「リアル」を感じました。
最終章まで読んで
この物語、淡々とタキが平井家での女中奉公のエピソードを語っているので、
あるいは中には飽きてしまう人もいるかと思います。
(私はけっこう時代物が好きなので楽しめました。)
でも、あきらめないで!
悪いことはいわない、最終章まで読んで!
私が言いたいのは以上です。
最後まで読んだならなぜだかきっとわかるはず。
おわりに
今日は、直木賞のニュースを見て、この作品を思い出したので紹介しました。
この物語、他の人はどう読み解くのか気になります。
山田洋治監督の映画を実はまだ観ていないので、借りてこようかな。