学園ミステリの決定版!『六番目の小夜子』 恩田陸
こんにちは!
今日は、学校を舞台にした学園ミステリを紹介します!恩田陸のデビュー作です。
リアルタイムでこの小説が原作のNHKのドラマ、見ていたな~。
原作とはキャラ設定やストーリーが違っていたりするんですけど、
ドラマはドラマで面白かったな。同世代の夫に聞いたら、やっぱり見てたらしい。笑
六番目の小夜子 / 恩田陸 (新潮文庫)
あらすじ
津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包み込んだ、伝説のデビュー作。 『六番目の小夜子』恩田陸 より引用
登場人物
- 花宮雅子 ・・・ 高校三年生。十組。バスケ部。静かでおっとり。
- 唐沢由紀夫 ・・・ 同じく三年十組。バスケ部。明るい。カンが良い。
- 関根秋 ・・・ 三年十組。写真部。端正な顔・スポーツ万能・成績優秀。
- 津村沙世子 ・・・ 三年十組に転校してきた謎の成績優秀な美少女。雅子と仲良くなる。
- 加藤彰彦 ・・・ 三年十組。ガリ勉。
- 沢木容子 ・・・ 三年十組。バスケ部。パワフルで明るい性格。
- 設楽正浩 ・・・ 文化祭実行委員長。
- 黒川先生 ・・・ 三年十組の担任。飄々とした雰囲気の日本史教師。
3年に一度選ばれる「サヨコ」とは
とある地方の、県でも一、二を争う進学校。
その高校では「サヨコ」と呼ばれるゲームが十数年続いていた。
「サヨコ」は、三年に一度、前のサヨコから指名され、鍵を渡される。
指名された生徒は、誰にも自分が「サヨコ」だと知られてはいけない。
今年の「サヨコ」をやるなら、意思表示として始業式の日に自分の教室に赤い花を飾らなくてはいけない。
そして六番目のサヨコの年に当たる今年、雅子のクラスの三年十組の教壇に、大輪の赤いバラが飾られた。
「サヨコが出た」
と微かにささやく声、ざわめく教室。
表立って騒がれないが、生徒のほとんどが「サヨコ」の噂を何かしら耳にしていた。
果たして今年の「サヨコ」は誰なのか?
謎の転校生・津村沙世子
新学期初日、赤いバラが三年十組に飾られた日、神戸から転校生がやってきた。
神戸の超進学校から転校してきた美少女は、津村沙世子と名乗った。
奇しくも「サヨコ」と同じ名前の彼女は、成績優秀・眉目秀麗・スポーツ万能な活発な少女。
良く出来すぎたその転校生に、由紀夫と秋は疑念を抱く。
果たして「津村沙世子」は何者なのか?
学校という閉鎖的な空間
学校という閉鎖的な空間を効果的に利用したとても引き込まれる作品です。
あの独特な空間、実際自分がその中にいるとなかなか気付かないものです。
しかし卒業して大人になってみると、あの空間がいかに特殊でかけがえのない、そしてある意味恐ろしいものだったか突然理解できるようになります。
恩田陸は、そういった閉じられた空間の中の群像心理を上手に描く作家さんです。
『六番目の小夜子』を読むと、忘れていた高校時代の出来事をふっと思い出したりして、とても懐かしい気持ちになります。
青春とミステリとホラー
この物語、小夜子の謎が一番のフォーカスポイントですが、同時に瑞々しい青春も楽しめます。
また、小夜子の伝統って、学校の七不思議を連想させるところがあります。
この本、夜読んでると結構怖いんですよ。
自分の学校の怪談話を思い出して、ぞくぞくしちゃいます。
おわりに
今日は学園ミステリを紹介しました。
閉じられた空間で繰り広げられる事件の数々、読みだしたら止まらないと思います。
「サヨコ」とはいったい何なのか?読んでみて下さい。
♦恩田陸 <1964->
1964(昭和39)年、宮城県生れ。早稲田大学卒。
1992(平成4)年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞を、2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞を、2007年『中庭の出来事』で山本周五郎賞をそれぞれ受賞した。
ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなタイプの小説で才能を発揮している。著書に、『三月は深き紅の淵を』『光の帝国 常野物語』『ネバーランド』『木曜組曲』『チョコレートコスモス』『きのうの世界』などがある。