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元図書館司書の読書日記。不定期更新。

キュートでポップでオモチロイ!『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦

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こんにちは!

今日はキュートでポップな森見節☆恋愛ファンタジーを紹介します。

 

夜は短し歩けよ乙女 / 森見登美彦 (角川文庫)

 

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 

あらすじ

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する‟偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作! 

夜は短し歩けよ乙女森見登美彦 より引用 

 

登場人物

  • 先輩    ・・・ この作品の語り手。大学生。「黒髪の乙女」に恋心を抱いている。
  • 黒髪の乙女 ・・・ もう一人の語り手。「先輩」の後輩。うわばみ。
  • 李白    ・・・ 高利貸。富豪の老人。
  • 樋口さん  ・・・ 常に浴衣姿。天狗を自称。不思議な術の遣い手。
  • 羽貫さん  ・・・ 樋口の友人。美人歯科衛生士。大酒飲み。

 

「自分よ自分よ、何ゆえ不毛に御活躍?」

この作品は、「先輩」と「黒髪の乙女」が入れ替わり立ち代わりで語り手になる構成で物語が進んでいきます。

舞台は京都。京都大学(かと思われる)に通う「先輩」は、クラブの後輩の「黒髪の乙女」に片思いをしている。

※「先輩」と「黒髪の乙女」は最後まで名前が出てきません。それがまたいい!

「先輩」はとっても不器用なので、いつも「ある信頼すべき筋」から彼女の行く先を聞き、偶然を装って彼女に会おうと画策する。

しかし「黒髪の乙女」は行く先々で不可思議な出来事に巻き込まれるので、

彼女を追いかける「先輩」もいつも事件に巻き込まれ翻弄される。

そして消耗しきったところでようやく彼女と会うことができるのだが、

「黒髪の乙女」はとっても鈍感なので、「奇遇ですねぇ!」と先輩に言うばかり。

永久外堀埋め立て機関と自称する先輩の恋の行方やいかに?!

☝この言葉といい、

「自分よ自分よ、何ゆえ不毛に御活躍?」やら

「恥を知れ!!しかるのち死ね!!」とか

先輩が悶々として出す迷言が本当に秀逸で、おもわずプッと笑ってしまいます。 

でも私が一番好きな言葉は、「先輩」ではなく、第3章にて「パンツ総番長」が言った、p224の18行目です!

あと、「おともだちパンチ」はいまだに夫婦間で使っています。笑

 

読めば必ず京都に行きたくなる!

この物語、「先輩」と「黒髪の乙女」が春夏秋冬、京都を走り回ります。

よって、高確率で京都に行きたくなる効能があります。

そして4年前、私は実際に 行ってしまいました。

そう、下鴨神社の古本市に!

 

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あの真夏の暑い時期、「先輩」と同じようにうだるような暑さを体験してきました。

 

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「黒髪の乙女」が探していた絵本は見つかりませんでしたが、

エンデの『モモ』とキャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』はこの時にGETしました。

いい思い出です。

 

中村祐介のカバーイラストに羽海野チカのイラスト解説

はい!もう間違いないやつ~!

アジカンハチクロ好きなら間違いないやつ~!

すみません。好きなものだらけで高まりすぎました。

この作品のカバーイラストは、アジカンのCDジャケットも手掛ける中村佑介なんです。

この作品の世界観に本当にピッタリ!

この表紙とタイトルに惹かれて購入した記憶があります。

そしてなんと解説は、『ハチクロ』『3月のライオン』の羽海野チカのイラスト解説なんです。

イラストがとっても可愛いので必見です。

 

おわりに

今日は、キュート&ポップな恋愛ファンタジーを紹介しました。

森見作品の中では一番ポップなのではないでしょうか?

読み終わるころには心の中がほんわかする素敵な作品です。

 

 

森見登美彦 <1979->

1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。

 

 

ミステリ&冒険!唯一無二の巨星・乱歩の長編傑作。 『孤島の鬼』 江戸川乱歩

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こんにちは!

今日は乱歩の長編作品を紹介します。

 

孤島の鬼 / 江戸川乱歩 (創元推理文庫

 

 

 

あらすじ

密室状態での恋人の死に始まり、その調査を依頼した素人探偵まで、衆人環視のもとで殺された蓑浦は、彼に不思議な友情を捧げる親友諸戸とともに、事件の真相を追って南紀の孤島へ向かうことになった。だが、そこで2人を待っていたのは、言語に絶する地獄図の世界であった…!『パノラマ島奇談』や『陰獣』と並ぶ、江戸川乱歩の長編代表作。

『孤島の鬼』江戸川乱歩 表紙裏より

 

感想

 

明智小五郎は出てこないよ 

最初に言っておきます!

この『孤島の鬼』には江戸川乱歩の超有名なキャラクター、「明智小五郎」は出てきません。

しかし彼の長編作の中でも最高傑作と呼び声の高いのがこの作品です。

ミステリと冒険(あと恋愛)が融合された大満足な一冊です。

 

登場人物

箕浦金之助 ・・・ 本編の語り手。美青年。

木崎初代  ・・・ 箕浦の恋人。箕浦と同じ会社に勤める。

諸戸道夫  ・・・ 箕浦の友人。箕浦に好意を抱く。ハンサムガイ。

諸戸丈五郎 ・・・ 道夫の父

深山木幸吉 ・・・ 素人探偵。箕浦の友人。

秀・吉   ・・・ 双生児

北川刑事  ・・・ 池袋署の警察官

 

主人公の白髪・妻の太腿の大きな傷の痕

 この作品は終始、主人公の私=箕浦金之助の一人称で語られます。

冒頭の「はしがき」で、主人公・箕浦が三十にもならないのに濃い髪の毛が全て白髪になっていること、

 彼の妻の太腿に恐ろしく大きな傷の痕があることが語られる。

この二つの事実には、とある恐ろしい奇怪な出来事が関係する。

この作品は、その奇怪な出来事を経験談として箕浦が物語を書いていくという構成で進んでいきます。

 

密室&衆人環視での殺人

この作品の評価が高い一つの要因として、

乱歩が作中で「密室殺人」「衆人環視の殺人」という二つのトリックに挑戦していることが挙げられます。

まず箕浦の恋人・木崎初代が彼女の家で殺されてしまいます。それは密室殺人だった。

そして彼女が大切にしていた「系譜図」をいつも入れていた手提げ袋が無くなっていた。

しかし「系譜図」自体は、箕浦が初代に結婚指輪を渡した際、

命より大事なこれを…と初代が箕浦に渡していた為無事であった。

初代は3歳の時に実の親に捨てられ、その際にこの「系譜図」を持たされていた。

しかし「系譜図」自体は肝心なところが破れていて、彼女の身元は分からないのだが、

初代はそれをとても大事にしていた。

 

***

 

初代の復讐を誓った箕浦は、友人の探偵・深山木に調査を依頼する。

手がかりを掴んだという深山木から連絡を受け、海水浴場で会った二人だったが、

白昼堂々の衆人監視の中で、深山木は何者かに刺され殺されてしまう。

 

この二つの殺人事件、この作品のほんの冒頭なんです。

というかこの後から始まる冒険の序章です。

かなり贅沢です。

 

同性愛

ストーリー的には前後しますが、この作品を語るうえで外せないのが「同性愛」の要素です。

 箕浦が初代にプロポーズした後、初代に猛烈にアプローチする男が現れる。

学歴・家柄・収入すべてにおいて箕浦を凌駕するその男は諸戸という箕浦の友人であった。

学生時代に諸戸と知り合ったのだが、諸戸は女性嫌いで、箕浦に好意を寄せていた。

彼は箕浦に愛の告白をしたこともあった。

箕浦自身は女性が好きであったため、諸戸の好意に応えることは出来なかったが、

立派な諸戸に好意を寄せられている事実は少なからず箕浦の自尊心をくすぐり、まんざらでもなかった。

そんな経緯があったので、諸戸が自分と初代との間を裂くために初代にアプローチしたのではと疑う。

 

***

 

この後、いろいろあって、箕浦は諸戸と冒険をともにすることになります。

この作品、いかにも乱歩!といったおぞましい描写がたくさん出てきて、それがこの物語をまた盛り上げているわけです。

しかし、この諸戸の箕浦への同性愛の心理描写もまたこの作品の重要なファクターとして生きてきます。

 

乱歩の前に乱歩なく、乱歩の後に乱歩なし

上記の文は、この『孤島の鬼』の文庫の帯に書かれていた言葉です。

この作品を読むと、この言葉がよくわかる。

乱歩は乱歩的なエンターテイメントを提供してくれる唯一無二の偉大な作家です。

 

おわりに

今日はミステリ界の巨人・江戸川乱歩を紹介しました。

乱歩の作品の中でもこの長編作品はかなりオススメです。

ほんとうに面白いので、ぜひ読んでほしいです!

 

 

江戸川乱歩 <1894-1965>

江戸川 乱歩は、大正から昭和期にかけて主に推理小説を得意とした小説家・推理作家である。また、戦後は推理小説専門の評論家としても健筆を揮った。実際に探偵として、岩井三郎探偵事務所に勤務していた経歴を持つ。 本名は平井 太郎。日本推理作家協会初代理事長。位階は正五位。勲等は勲三等。

 

 

【漫画】 とにかく衝撃!『ファイアパンチ』 藤本タツキ (ちょっとネタバレ有り)

こんにちは!

今日は、週末に読んだ漫画が衝撃的だったので紹介します!

 

※1巻の前半のネタバレを含みますので、ネタバレしたくない方は読まないでください。

ファイアパンチ(1) / 藤本タツキ (集英社

 

 

 

あらすじ

『氷の魔女』によって世界は雪と飢餓と狂気に覆われ、凍えた民は炎を求めた──。再生能力の祝福を持つ少年アグニと妹のルナ、身寄りのない兄妹を待ち受ける非情な運命とは…!? 衝戟のダークファンタジー、開幕!!

『ファイアパンチ』藤本タツキ 表紙裏より

 

感想 

福者と呼ばれる得意能力を持つ人間がいる世界

炎を発生させたり、何もないところから鉄を生み出したり、得意能力を持つ「祝福者」と呼ばれる人間がいる世界。

ある日出現した「氷の魔女」と呼ばれる祝福者によってこの世界は雪に覆われ、人々は飢餓にあえいでいた。

主人公のアグニとルナの兄妹も、再生能力のある祝福者だ。

彼らはその能力を使い自らの腕を切り落とし、村人に食料として分け与えていた。

 

ある日、村にドマという祝福者の王国軍兵士がやってくる。

村人が人肉を食べていることを知ったドマはそれを忌み、

彼の能力で村をまるごと焼き尽くしてしまう。

 

愛するルナを失い、村でただ一人生き延びたアグニはドマへの復讐を心に誓う。

 

とにかく衝撃!

Web上で、「進撃の巨人以来の衝撃!」等話題になっていたのを見て、

なにそれ絶対読みたい!と思い迷わず購入してしまいました。

ほとんど予備知識のない状態で読んだので、とにかく衝撃でした。

今まで読んだことがない内容。斬新です。

進撃の巨人っぽい感じかな~って思っていたけど違いました。

あ、でもグロテスクな描写が多いのは似ているかも。

 

着想は「アンパンマン

こんな物語を書くのはどんな人なのだろうと興味が沸き、

作者のインタビュー記事を見つけ読んでみたら、着想は「アンパンマン」って書いてありました。

「ファイアパンチ」藤本タツキインタビュー (1/3) - コミックナタリー Power Push

 

私は氷の魔女とか出てくるから「ナルニア」かな~って思っていたのでビックリでした。

でも確かに「アンパンマン」!自分の腕を分け与えているもんね。

しかし斧で自分の腕を切るシーンなんて「アンパンマン」とは似ても似つかないですけど。笑

他にもなかなかグロい描写が多いのですが、ストーリーが面白いので意外と読めちゃいます。

 

おわりに

今日は、今話題の『ファイアパンチ』を紹介しました。

とにかく初めて読んだときの衝撃はすごかった!

純粋にこの先の展開が気になる!!そんな漫画です。

 

 

今を生きる全ての人へのエール!『サラバ! 上・下』 西加奈子

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こんにちは!

今日は、2015年本屋大賞で2位、第152回直木賞受賞の

著者初の長編小説『サラバ!』を紹介します。

 

サラバ!上・下 / 西加奈子 (小学館

 

 

 

あらすじ

1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに―。

 

感想

 

主人公の半生を描いた作品

この作品の主人公は圷(あくつ)歩。圷家の長男だ。

圷家の家族構成は、父・母・姉・弟の歩である。

圷家の面々はとても個性的である。

母親というより女としての自分を大切にする実直で美人な母、

「わたしを見て!」という欲求から奇行に走る姉・貴子。

そんな正反対の母と姉の仲は最悪である。

そしてその諍いの板挟みにあう自己犠牲精神に溢れた父。

歩はそんな家族を見て、幼いころにはもう傍観者として生きる道を選ぶ。

そんな流れに身を任せるように目立たないように、姉のようにならないように生きる歩。

母譲りの綺麗な顔立ち、父譲りの背の高さで常にクラスで一番目立つ子の親友というポジションをゲットし、学生時代を順調に過ごす。

それは大阪でも、父の駐在先のエジプトでも変わらなかった。

しかし大人になった歩は、その生き方のせいで様々な困難に遭ってしまう。

 

スケールの大きい作品

主人公の歩は、父の仕事の関係でイラン生まれ。

一旦大阪に帰るが、小学校1年生の時にまた父の転勤で今度はエジプトに引っ越す。

これは、著者の西加奈子と同じである。

そのためか、イランとエジプトの描写が匂い立つように濃厚で、

住んでいた人だから書くことのできる文章だなと思いました。

特にエジプト・カイロ時代の話は情景が目に浮かんでくるようでうっとりしました。

 

やっぱりいい、「関西弁」

やっぱりいいです、関西弁。

今回も登場人物の多くが関西弁です。

西作品には関西の血が流れている、と思う。

特に母の実直なキャラクターに関西弁がベストマッチしてとてもいい感じです。

 

「サラバ」という言葉に隠された作者の想い

ここで「サラバ」とは何かを語るわけにはいかないのですが…

作者の西加奈子はこの「サラバ」という言葉を通して、この物語を通して、

現代に生きるたくさんの「歩」のような人たちに、エールを送っていると感じました。

もちろん、マイノリティーの「貴子」という人に向けても。

そんな作者の熱量がひしひしと伝わってくる作品です。

 

おわりに

今日は直木賞受賞作の『サラバ!』を紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

著者渾身の長編作。私はあっという間に読み終えてしまいました。

私も私のサラバを強く信じて、生きていこうと思えました。

ぜひ読んでみて下さい!

 

 

【漫画】 もうすぐ3巻発売予定!人間社会の本質を描く。『ランド』 山下和美

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こんにちは!

今日は『天才 柳沢教授の生活』や『不思議な少年』で有名な山下和美

現在連載中の漫画、『ランド』を紹介します。

現在単行本は2巻まで出ていて、今月の7/22に3巻が発売予定です!

 

ランド (1)~(2)/ 山下和美  (モーニングKC)

 

 

 

あらすじ

その村では、人は必ず50歳で死を迎える。村人を縛るしきたり、「あの世」と呼ばれる山の向こう。双子の姉を生け贄に捧げられた少女・杏。
獣の皮をかぶった役人達が取り仕切る「この世」と呼ばれる村で神に見守られて暮らす人々。そして、不思議な山の民。杏が見つめる先には希望も絶望もある。この物語で描くのは山下和美が抱く、日本という国への不安。 Amazon CAPTCHA

 

感想 

人間社会の残酷さ

 まるで映画を観ているかのよう。

山下和美の最新作『ランド』はそんな壮大な世界観の漫画です。

主人公の杏は、とても好奇心旺盛な少女。

杏の暮らす村には言い伝えがあり、村を四方から囲む山の向こうには村人は決して足を踏み入れない。

かつて人々が豊かさを求め山を切り開こうとした際、神々の怒りに触れ天変地異が起こった恐ろしい記憶があるからだ。

四方には村人から畏れられている「神」がいる。

(神というわりにおどろおどろしいので私には死神に見えてしまう…)

山に踏み入ると、暗くなっても外にいると、その神々から天罰が下ると村の子供たちは教えられる。

また杏は実は双子であったが、杏の片割れの赤ん坊は凶相があると役人に言われてしまう。

双子の父、捨吉は泣く泣く山の神への捧げものとして、その赤ん坊を山に置き去りにするしかなかった。

その赤ん坊のことを忘れないために、その子をアンと名付け、捨吉は自分の眼を潰した。

 

***

 

この作品を読んで人間は残酷な生き物なんだ。と再認識しました。

上記の村を縛る掟は一昔前なら普通に存在していただろうと思う。

(姥捨て山とか双子の迷信とか)

そしてこういうものはきっと、現代でも姿かたちを変えて蔓延っている。

 

杏の行動力

そんな閉鎖的な村で育ったのに、杏は自由奔放。

様々なタブーを飛び越えてしまう。

人が疑問にも思わない、村の風習にも「なぜ」と疑問を持つような子。

そんな杏が村の掟を破ったことにより、今まで隠されてきた真実の片りんが見え隠れし始める。

この物語が全体的に禍々しいオーラを纏っているので、

杏が鷹を使って空を飛ぶシーンは特に清々しく感じる。

杏の存在自体が、この物語のなかでひと際輝いて見えるのだ。

当たり前のことに疑問を抱ける杏。

現代にこそそういう能力が必要なのかもしれない。

 

1巻ラストの衝撃

 ここまで読んでくれた方、とりあえず1巻を読んでみましょう。

1巻のラストに驚愕のヒキが待っています。

 

おわりに

 今日は、『ランド』を紹介しました。

まずは予備知識の少ない状態で読んでほしいので、あまり内容には触れませんでしたがいかがでしたでしょうか。

緻密な絵で彩られる物語にグイグイ引き込まれていくと思います。

当たり前を当たり前に享受して生きる日々。

そんな毎日が続く保証はどこにもないんだと、この物語を読んで思いました。

とりあえず、みなさん選挙に行きましょう。笑

 

7/22に最新刊の3巻が出ます!

あ~早く続きが読みたい!!!

 

 

我が家の本棚はもうキャパオーバーです!

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今週のお題「わたしの本棚」

 

こんにちは!

今週のお題がこのブログのテーマにぴったりだったので、

今日は「我が家の本棚事情」について書いていきたいと思います。

 

我が家の本棚について

我が家の本棚は、結婚した3年前に購入しました。

ビーカンパニーで購入しました☟

 

onlineshop.b-company.co.jp

 

最初の部屋がなかなか狭かったので(愛を込めてウサギ小屋って呼んでいました)、

横幅スリムで縦長のものを探していたのでピッタリでした!

しかも、棚板を自分で簡単にアレンジできる優れものです。

私の持っている本は殆ど文庫本なので、文庫本サイズに棚板を設置しています。

結婚して引っ越した際に、お気に入りの本数冊しか持っていかなかったので、

まあしばらくは大丈夫だろう!と思っていたのですが…

 

2年で本棚はキャパオーバー!

まあものの見事にキャパオーバー!

私が文庫本を購入するのと同じく、夫は小説はあまり読みませんが漫画が大好きなので漫画を結構買います。

夫婦2人分の本と漫画だと思えば、まあ当然いっぱいになりますよね。

ちなみに我が家の本棚は、本と漫画が50:50です。

 

引っ越しを期に本棚を増やしたが…

そして1年前、現在の部屋に引っ越しをする際、ある程度本棚を整理整頓しました。

捨てる本・売る本・実家に保管する本に分けて、本棚にも少し余裕ができました。

見境なく買うのは止めようと思っていたのですが、結局、半年くらいでまた本棚がいっぱいに!

そこで、無印のパルプボードボックスを2つ導入!

 

www.muji.net

 

これ、女性でも簡単に組み立てできるし、シンプルデザインなのでオススメです。

しかも後々、本棚以外の用途でも使えるな~と思い購入しました。

 

しかし現在、このパルプボードボックスも間もなくいっぱいになりそう…

要因は解っています。

それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スラムダンク 完全版(全24巻)が1つの棚を占領しているから!

 

 

 

 

夫のモノです。

いや、でも文句は言いません。

だって私も大好きだから!!!!!

 

打開策

打開策として、次の引っ越しの際は以下のことに気を付けようと夫婦で話し合いました。

 

  • スラムダンク完全版は山王戦(20巻~24巻)のみ手元に置いておく。他は夫の実家へ。
  • 完結済みの漫画はお互いの実家へ。
  • これからはなるべく電子書籍を利用する。

 

実家、大迷惑!笑

ミニマリストには程遠い夫婦だな~と実感しました…

 

 

映画を観る前に読んでおこう!『ふしぎの国のアリス』『鏡の国のアリス』 ルイス・キャロル

こんにちは!

7/1に「アリス・イン・ワンダーランド / 時間の旅」が公開されましたね!

 


映画『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』予告編

 

2010年に公開された前作のアリス・イン・ワンダーランド、実は原作の『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』の両方から着想を得て作った作品だって知っていましたか?

ディズニー映画のアリスは観たことがあっても、意外と原作は読んだことがないという人も多いのでは。

続編の映画を観る前に、原作の『ふしぎの国のアリス』と『鏡の国のアリス』を読んでみるのはいかかでしょう?

 

不思議の国のアリス / ルイス・キャロル (角川文庫)

 

 

あらすじ

ある昼下がり、アリスが土手で遊んでいるとチョッキを着た白ウサギが時計を取り出しながら、急ぎ足に通り過ぎ、生き垣の下の穴にぴょんと飛び込みました。アリスも続いて飛び込むと、そこは…。チェシャーネコ、三月ウサギ、帽子屋、ハートの女王など、一癖もふたくせもあるキャラクターたちが繰り広げる夢と幻想の国。ユーモア溢れる世界児童文学の傑作を、原文の言葉あそびの楽しさそのままに翻訳した、画期的新訳決定版。

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鏡の国のアリス / ルイス・キャロル (角川文庫)

 

 

あらすじ

不思議の国」から半年後の雪の日。子ネコのキティとおしゃべりを楽しんでいたアリスは、暖炉の上の鏡をくぐり抜けてしまいます。なんとそこは、赤白のキングやクイーン、ナイトらの住むチェスの世界。さらには、おしゃべりする花々や卵のハンプティ・ダンプティも集い…おのずとチェスゲームに参加したアリスは、女王を目指すのですが…。ジョン・テニエルの美しいオリジナル挿絵を全点収録、永遠の名作童話の決定版。

鏡の国のアリス (角川文庫) | ルイス・キャロル, 河合 祥一郎 | 本 | Amazon.co.jp

 

感想

 

小さい頃、ディズニーのアリスをよく見せられて育ちました。

なのでアリスはディズニーのイメージが強かったのです。

しかしもう少し大きくなってからキャロルの原作を読んだ時、

ディズニーよりもっとハチャメチャな世界観に魅了されました。

 

ナンセンスな言葉遊びとマザーグース

常識が通用しない怖いような不思議な世界。

そういった世界を形成しているのがナンセンスな言葉遊びや、

当時の教訓詩と流行歌のパロディーです。

正直現代の私たちには分からないものも多いのですが(何せ初版が1865年!)、

分かるものもあるので紹介します。

不思議の国のアリス』のティーパーティーのシーンで帽子屋(マッドハッタ―)が披露する、

「きらきら光る、お空のこうもり…」という唄。

ディズニー映画にもこのシーン出てきますよね?

(ディズニーでは鼠が歌ってた気がします…)

これは、童謡の「きらきら星」のパロディなのだそう!

また、『鏡の国のアリス』はマザーグースに由来するキャラクターが出てきます。

ハンプティ・ダンプティや双子のトゥイードルダムとトゥイードルディーは、

不思議の国のアリス』ではなくて、『鏡の国のアリス』のキャラクターだったって知っていましたか?

 

ジョン・テニエルの挿絵

アリスを読むのであれば、ジョン・テニエルの挿絵のついているものがオススメです。

ジョン・テニエルの挿絵がさらにその世界観を盛り立てています。

キャロルが挿絵にこだわりを持っていた為、口うるさくテニエルに注文したと言われています。

現在のアリスの世界のイメージは、テニエルの挿絵が大きく影響しているそうで、

鏡の国のアリスに出てくるマザーグースが基になっているハンプティ・ダンプティや、

双子のトゥイードルダムとトゥイードルディーはテニエルの挿絵が後世のキャラクターイメージに重要な役割をはたしているそうです。

 

 

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トゥイードルダムとトゥイードルディー 鏡の国のアリス』より出典

 

あなたはどっち派?

私は実は『鏡の国のアリス』派です。

『不思議~』の続編として『鏡~』が作成されたわけですが、

不思議の方は、キャロルがアリス・リデルという10歳の女の子に語って聞かせた物語が高評されて出版に至った経緯から空想物語風なのに対し、

鏡は出版する前提で作成したため、かなり緻密に物語が設計されています。

鏡の物語のモチーフは、マザーグースとチェスです。

マザーグース由来のキャラクターが出てくるほか、

この鏡の国の世界が巨大なチェスゲームで成り立っていて、アリスも駒の一つとして参加する設定になっているのです。

また、実は映画の「アリス・イン・ワンダーランド」のジャバウォックは、

鏡の国の作中作「ジャバウォックの詩」から構想を得ているんです。

 

おわりに

今日は、児童文学の名作を紹介しました。

アリスはディズニーに始まり今回の映画など、

様々なパロディ作品があります。

原作を読んでおくと、ここはあのシーンのパロディだな~とか、

そういう風に表現するんだ!とか、かなり楽しむことができます。

ぜひ映画を観る前に、原作を読んでみて下さい。

また原作を読んでから、様々なパロディ作品を観直してみるのもとても楽しいのでオススメです!

 

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