子供の時に読みたかった!子供の本棚に入れておきたい名作 『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス
こんにちは!
今日は子供の本棚に入れておきたい名作(海外編)シリーズ第2弾です!
勝手にシリーズ化してみました。
10冊くらい紹介できたら、そのうちまとめ記事を書きたいな~
第一弾はコチラ↓
トムは真夜中の庭で / フィリパ・ピアス (岩波書店)
あらすじ
友だちもなく退屈していたトムは、真夜中に古時計が13も時を打つのを聞き、ヴィクトリア時代の庭園に誘いだされて、ふしぎな少女と友だちになります。歴史と幻想を巧みに織りまぜた傑作ファンタジー。
『トムは真夜中の庭で』フィリパ・ピアス
感想
実はこんなに有名作なのに、大人になってから読みました。
読み終わっての第一声、
「子供の時に読みたかった!!!!!!」
と切実に叫びました。シャウトしました。
どんな物語なのか?
主人公のトムは弟のピーターがはしかに罹ってしまった為、
せっかくの夏休みなのに友達もいない庭もない叔父と叔母の住むアパートに預けられてしまった。
他の人にうつしてはいけないということで、外出すらできないトムはくさくさしている。
昼間ほとんど動けないトムは、夜は眠れなくなっていた。
アパートのホールにある古めかしい大時計が12回なるのが耳慣れたものになるくらいにトムは眠れない。
ある日も、大時計が12時をうってもトムはベッドで目を開けていた。
叔父も叔母もいつも12時前には眠ってしまうため、家の中は静まり返っている。
そしてさらに1時間が過ぎ、大時計は1時をうった…と思いきや、
時計は2回、3回と鳴り続ける。家の時計は確かに深夜1時なのに!
そのまま12回まで鳴り続けた大時計に、
一晩に12時を2回も鳴らすなんてとんでもないとトムは呆れる。
しかしそこで終わりではなかった。大時計はもう1回鳴り、ようやく静まった。
13回!13時?とトムはビクッとする。
恐る恐るベッドを抜け出したトムは、ホールに向かう。
しかしホールは真っ暗で文字盤が読めない。
電灯のスイッチも見つからない。
そこで月明りを利用しようとしたトムは、アパートの裏口のドアを開けてびっくり。
そこには広い芝生に花が咲き乱れた庭園が広がっていたのだ。
そこでトムはイギリスのヴィクトリア朝時代のハティという少女と出会う。
「時」をテーマにした児童文学
この作品は、「時」をテーマにした作品の中の古典だそうです。
1958年にイギリスで発表され、カーネギー賞を受賞しています。
何度も映像化され、映画化もしています。
結構古い作品ですが、いまだ色あせない面白さと感動があります。
大人になって読んでも、面白いと思える作品なんてなかなかない!
ファンタジーの分類について
前に、個人的にファンタジーは二つに分類しているというお話をしました。
犬耳式ファンタジーの二大分類
1.異世界を舞台にしたもの
2.現実世界と異世界が両方存在するもの
この分類方法に名前を付けてみました。
名付けて、犬耳式ファンタジーの二大分類!!!!
そのまんま!センスゼロ!
この作品の場合、「時」がテーマですので難しいところですが…
トムを視点に考えた場合、トムの生きている時代が現実世界で、
庭園のあるハティの世界が異世界と考えられるかと思うので、
2.現実世界と異世界が両方存在するもの ではないでしょうか。
早い段階で登場人物に感情移入できるタイプですね。
なぜ子供の本棚に入れておきたいのか?
なぜか?まず第一に、文句なしに面白いからです!
子供の時に最高の読書体験をすると、間違いなく読書家になります。
子供が面白いと思える作品に出会うことが何より大事です。
そしてもう一つ、この本を読むことで子供が「時」について考えることができるから。
このことに関しては、作者もあとがきで雄弁に語っているので引用します。
想像力をもってしても、理性をもってしても、一番信じにくいことは、「時」が人間の上にもたらす変化である。子どもたちは、かれらがやがて大人になるとか、大人もかつては子どもだったなどときくと、声をあげて笑う。この理解の困難なことを、私はトム・ロングとハティ・メルバンの物語のなかで探求し解決しようと試みた。 p304より引用
と、作者が言っているように子供の時は自分の親や先生が子供だったなんて、
信じられませんでしたよね。
でもこの物語を読むことで、なんとなくでも理解する、あるいは「時」について考えることができたら、子供は成長するのではないでしょうか。
私は子どもがいるわけでもないし、ましてや教育の勉強はしたことがないので、
専門的なことは言えないのですが…でも「時」について理解するのは大事なことではないでしょうか。
視野を広く持てるようになるのでは?
大人への作用
この作品は、子どもだけのものではありません。
大人の中の眠っていた子供の部分を呼び覚ます効力があります。
私たちもかつては子どもだったなと思い出させてくれる作品です。
忘れてしまった自分の中の子どもを思い出したい方、ぜひ読んでみてください。
忘れてしまっている人こそ、ラストに感動するかと思います。
以上、今日は児童文学を紹介しました。
ではまたあした~!